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千葉地方裁判所 昭和51年(わ)1097号 判決

本店の所在地

千葉県千葉市栄町一六〇番地の二

新葉興業株式会社

代表者

田村明

本店の所在地

同市栄町一五番一二号

有限会社歌磨

代表者

矢代晴彦

本籍

同市塩田町六五四番地

住居

右同所

会社役員

田村明

昭和九年八月一〇日生

右の者らに対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は検察官子原英和出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人新葉興業株式会社を罰金七〇〇万円に、被告人有限会社歌磨を罰金四〇〇万円に、被告人田村明を懲役八月に処する。

被告人田村に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人新葉興業株式会社は、千葉市栄町一六〇番地の二に本店を置き、特殊浴場、不動産の売買及びその斡旋等の事業を営むもの、被告人有限会社歌磨は、同市栄町一五番一二号に本店を置き、特殊浴場及び飲食業等の事業を営むもの、被告人田村明は、被告人新葉興業株式会社の代表取締役及び被告人有限会社歌磨の実質的経営者(商業登記簿上は取締役)として、各被告会社の業務全般を統轄掌理しているものであるが、被告人田村において

第一  被告人新葉興業株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するとともに架空経費を計上し簿外預金を設定するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ、

一  昭和四七年一一月一日から昭和四八年一〇月三一日までの事業年度において、被告人新葉興業株式会社の実際の所得金額が七二、八九八、一三〇円であつたにもかかわらず、昭和四八年一二月二八日、千葉市新宿二丁目六番一号所在の所轄千葉税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三八、二五二、八五一円でこれに対する法人税額が一三、六〇一、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額二六、三三三、七〇〇円と右申告税額との差額一二、七三二、四〇〇円を免れ、

二  昭和四八年一一月一日から昭和四九年一〇月三〇日までの事業年度において、被告人新葉興業株式会社の実際の所得金額が四九、八五五、〇三〇円であつたにもかかわらず、昭和四九年一二月二六日、前記千葉税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二四、二〇六、九四二円でこれに対する法人税額が八、六三六、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額一八、八九六、一〇〇円と右申告税額との差額一〇、二五九、六〇〇円を免れ、

第二  被告人有限会社歌磨の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するとともに架空経費を計上し簿外預金を設定するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ、

一  昭和四七年一一月一日から昭和四八年一〇月三一日までの事業年度において、被告人有限会社歌磨の実際の所得金額が一九、四六二、六一三円であつたにもかかわらず、昭和四八年一二月二八日、前記千葉税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九、八一一、五六三円でこれに対する法人税額が三、三四三、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額六、八八九、七〇〇円と右申告税額との差額三、五四六、七〇〇円を免れ、

二  昭和四八年一一月一日から昭和四九年一〇月三一日までの事業年度において、被告人有限会社歌磨の実際の所得金額が三一、三三八、二八三円であつたにもかかわらず、昭和四九年一二月二六日、前記千葉税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八、三八一、四五三円でこれに対する法人税額が二、六〇八、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額一一、七九一、四〇〇円と右申告税額との差額九、一八二、八〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

全部の事実につき

一  被告人田村の当公判廷における供述

一  同人の検察官(六通)、大蔵事務官(一九通)に対する各供述調書

一  同人作成の答申書(証第二〇、三三号)および申立書(証第二四号)

一  大蔵事務官丸田忠彦作成の査察官調査書(証第六号)

一  矢代晴彦の検察官、大蔵事務官(証第二五、二七号)に対する各供述調書

一  同人作成の答申書

一  酒井敬子の検察官(二通)、大蔵事務官に対する各供述調書

一  岩本清二の大蔵事務官に対する供述調書

一  同人作成の答申書

一  影山成己の検察官、大蔵事務官(二通)に対する各供述調書

一  同人作成の答申書

判示第一の各事実につき

一  被告人田村作成の答申書(証第二一号)および申立書(証第二二号)

一  登記官鈴木常治作成の登記簿謄本(証第二条)

一  大蔵事務官丸田忠彦作成の各査察官調査書(証第四、七、八、九、一〇、一二、一三、一四、一五号)

判示第一の一の事実につき

一  同人作成の査察官調査書(証第一一号)

一  検察事務官作成の報告書

一  大蔵事務官伊藤三夫作成の脱税額計算書(証第四〇号)

一  押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五二年押三八号の1)

判示第一の二の事実につき

一  大蔵事務官丸田忠彦作成の各査察官調査書(証第一六ないし一八号)

一  大蔵事務官伊藤三夫作成の脱税額計算書(証第四一号)

一  押収してある法人税確定申告書写一綴(昭和五二年押三八号の2)

判示第二の各事実につき

一  被告人田村作成の申立書(証第二三号)

一  登記官鈴木常治作成の登記簿謄本(証第三号)

一  大蔵事務官丸田忠彦作成の各査察官調査書(証第一九ないし二四号)

一  矢代晴彦の大蔵事務官に対する供述調書(証第二六号)

一  斉藤トミ子の検察官、大蔵事務官に対する供述調書

判示第二の一の事実につき

一  大蔵事務官伊藤三夫作成の脱税額計算書(証第四二号)

一  押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五二年押三八号の3)

判示第二の二の事実につき

一  大蔵事務官伊藤三夫作成の脱税額計算書(証第四三号)

一  押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五二年押三八号の4)

(法令の適用)

1  各被告人会社につき各法人税法一五九条、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項。

2  被告人につき各法人税法一五九条(懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第一の一の罪の刑に加重)、同法二五条一項。

(裁判官 門野博)

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